転職サイトや、転職エージェントサイトなどの呼び方がありますが、これらは狭義で言うと少し変わるものの、基本的なビジネスモデルは同じです。
アフィリエイターとして転職ジャンルに取り組む場合も、この違いは、さほど大きな問題ではありません。
ここでは、転職サイトのビジネスモデルについて解説していきます。
転職サイト・転職エージェントのビジネスモデル
なぜ転職サイトは、無料なのに転職希望者の転職活動を手厚くサポートしてくれるのかをご存知でしょうか。
さらに、転職サイトは、この無料で行う一見ボランティアのような事を、アフィリエイター(ASPを介して)に高い報酬を出してまで実施しているのでしょうか。
転職ジャンルに挑戦するなら知っておいた方が良い転職サイトのビジネスモデルをご説明します。
注意:「知らないと挑戦してはいけないよ!」みたいな事を言おうと思っているわけではありません。
転職サイトの利益は仲介手数料
転職サイトは、サービスを介して転職が成立した際に転職者の年収の約30〜35%を仲介手数料として紹介先の会社から受け取ります。
転職サイトの売上は、この仲介手数料(紹介料)です。
ちなみに、求人雑誌は掲載料のみで仲介手数料はありません。後述しますが、この掲載料は相当高いうえに、「掲載だけ」なので求人応募が絶対にくる保証はなく、求人応募する際にあまり効率的な方法ではありません。転職サイトは、実際に雇った場合にだけ料金が発生するので、確実性の高い募集方法と考えられているのです。
転職希望者の転職サイトの利用は基本無料、企業は成功報酬のみ
中には、転職希望者から料金をとる転職サイトもありますが、
転職希望者が内定を獲得すること自体が売上になるビジネスモデルになっているので、そういう点で転職エージェントと転職希望者の利害関係が一致していて、必ずしも転職希望者からサービス料金をとる必要はありません。
むしろ、有料にしたせいで登録者が減ってしまう事の方が困ります。
転職を悩んでいる人に、転職の敷居が低くなるよう無料&手厚いサポートを提供し、実際に転職を達成した時にだけ成功報酬を受け取ります。
転職サイト同士はライバル関係になるので、無料で利用可能、それでいて手厚いサポートを実施しなければ、なかなか利用者を増やす事はできません。
最近では、無料で利用しておきながら、それは棚にあげて不満ばかりを言う(口コミやSNSにあげる)人が多くなってきていますね。
少し話がそれましたが、転職サイトの利用者が多いという事は、それだけ商品を豊富に扱っているという事を意味します。
当たり前の話ですが、商品を求めている人は、その商品がない所ではなくある所に行きます。
労働者は、求人情報が豊富にあるところ
企業側は、転職希望者が豊富に存在するところ
ですので、転職サイトは転職希望の登録者を増やす事と同時に、人材が欲しい会社からの依頼を増やす事に注力します。
それが、
企業側には転職が成功した時の成功報酬だけ
労働者側には無料・転職支援
という形で、双方の利用者が増えるように取り組みます。
履歴書制作、面接の指導や同行、雇用条件の代理交渉、転職活動に関わる雑務などを無料で一手に引き受けてくれるのも、すべては転職希望者と転職サイトの利害関係が一致しているというビジネスモデルに理由があるといえます。
無料どころかお金が貰える制度も一部存在
最近では、労働者側に対しては無料どころか、転職達成時には「転職祝金」を出す事で集客している会社も多くなりました。
この祝い金は、先ほど説明した仲介手数料から数千円〜数万円を、転職者に祝い金としてプレゼントしているかたちなので、多少身を削ってまで転職希望者を増やしたいという想いがあるわけです。
裏を返せば、転職祝い金が同業他社と比較してを圧倒的に高い転職サイトは、現時点で満足に転職希望者を集める事ができていない可能性があります。
中級アフィリエイターの完全個人的な感想ですが、転職祝い金が高い会社はそれなりに訴求しやすいです。
「どうせなら、転職祝い金が貰える方が良いですよね?」
「転職サイト選びで損をしていませんか?」
という感じです。
確かに、発生しやすいです。
しかし、祝い金制度を設けている会社の承認率はのきなみ低めです。
私が取り組んでいる転職ジャンルの中で看護師転職サイトを中心に扱うアフィリエイトサイトがありますが、このサイトではお祝い金を出している会社の承認率は20%程度でした。
あまりにも承認率が低いので、今ではおすすめとして紹介する事はなくなってしまいました。
実際、お祝い金を出さないと集客できない転職サイトは、その業界の中では中堅以下の会社が多いです。
実績のある転職サイトのほとんどは、転職者にお祝い金を出しません。お祝い金がなくともちゃんと集客できているという事だと思います。
承認率の低さを見るととても信用度が低く、祝い金の未払いや分かりにくい条件をつけて満額を払わないなどの対応をとっていそうな気がして、ランキングでもおすすめとして紹介する気になれません。
転職サイト利用者に嫌な思いをさせるのは私自身も嫌なのでお祝い金ありの転職サイトを選ぶリスクを説明した上で紹介するようにしています。
企業側にとってのメリットをもう少し詳しく
ビジネスモデルについて説明してきましたが、企業側が転職サイトを利用するメリットも合わせて説明したいと思います。
転職サイトからの仲介で人材を雇った場合、企業は転職サイトに契約時の年俸の30%〜35%という多額の仲介料を支払う事になりますが、もちろん、これについてもメリットがあるから転職サイトを利用しています。
成功報酬=人材を雇った時のみ支払い料金が発生
企業が転職サイトを利用せずに特定の水準を満たした人材を採用しようとするといくつかの壁にぶつかります。
一つは、自社の公式サイトで募集を募る方法があります。
しかし、これは人気企業が行った時しか効果を期待できず、小さな会社が自社の公式サイトで募集をかけても、いつになったら応募者が現れてくれるか見通しがつきません。
逆に、超大手の企業が自サイトで応募をかけて応募が殺到する可能性が出てきてしまい、このコントロールが非常に難しいので、どちらに転んでもデメリットが存在します。
次に、求人雑誌や新聞の求人欄などで募集をかけた場合ですが、求人募集が多くの人の目に触れる可能性は高くなるので、応募が集まらない企業や小さな事業所などにはメリットがあるように感じますが、求人広告の掲載料はバカになりません。
また、この方法で募集をかけると、応募者の能力が求めているレベルに達しているかが一切分かりません。むしろ、求める水準を満たしていない人が応募してくる可能性の方が高いです。
人材募集をかけた事によって、応募者からの問い合わせの対応・履歴書審査など、会社側に多くの雑務が出てきてしまう事もあります。
「広告掲載費用と雑務が増えただけで、欲しい人材は誰一人応募して来ない。」こうなると、企業にとってもたまったものでありません。
転職サイトを介せば、人材の質は転職サイト側である程度のフィルターがかかりますし、欲しい人材の条件を伝える事により求める水準の人材からの応募率が増えます。
求人雑誌などと違い、人材を雇えていなくても発生する求人広告の掲載料を払う必要はありません。
実際に転職した際に多額の料金が発生したとしても、希望通りの人材募集につながるか分からない求人掲載などと違う「確実性の高さ」が魅力的なのです。
ハローワーク募集よりも確実に良い人材が集まる
公募の際には法律上書けない条件というものがあります。
例えば、
- 性別や年齢の指定
- 過去の転職回数の制限
- 特定の会社や大学の出身者を除外する内容
転職サイトを使えば、求人情報に記載せずとも、転職サイトとの契約条件に盛り込めば良いだけの話になります。
つまり、事前に振るいにかけてもらう条件をある程度設定する事が可能になります。
事実、看護師の転職サイトなどでは、「女性のみ、30代まで」となっている転職サイトもあります。
求人票に、「女性限定。39歳まで可能。40歳以降は採用しません!」なんて事は書けませんが、転職サイトを利用すれば、そのように募集をかけたのと同じ事ができてしまうのです。
そういった都合の良い側面もあるので、多くの企業・会社(病院なども含め)が完全自由応募以外に転職サイトも並行しながら採用活動を行なっています。
つまり、公式ホームページでは、「現在募集はありません。」となっている場合でも、特定の条件を有する人については、転職サイトを介した紹介のみ受けつけている場合もあります。
まとめ
転職サイトのビジネスモデルから、転職サイトが存在する理由などについて説明しましたが、これらは必ずしもアフィリエイターが知っておくべき事ではありません。
それでも、内情を知っていると訴求しやすくなると思うので、知っていて損はないと思います。
例えば、
最後の方で説明した企業が転職サイトを利用する理由を考えれば、仮に「現在募集はありません。」と記載されていても、転職サイトでは募集していたり、応募できる可能性があるという事が分かります。
お目当の会社があって繰り返し何度も会社のホームページで求人募集が出ていないかをチェックしている人に対して、
「募集がないとは、自由応募がない事を意味しているだけで、転職サイトに求人がない事とはイコールではありませんよ。人気求人は非公開求人になっている可能性が高いので、転職サイトに登録後に担当者に、非公開求人が出ていかいか相談してみては?」と訴求する事ができます。
あくまでも一つの訴求方法なので参考程度に、読んで頂ければ幸いです。